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新ジャガ/馬鈴薯
ナス科ナス属

Potato
学名:Solanum tuberosum
 

倶知安、ニセコ、京極、喜茂別は北海道を代表するジャガイモの産地。この羊蹄山麓に広がる畑のある地帯は、7月になると白やうす紫、ピンクの色鮮やかなジャガイモの花に彩られ、7月下旬には新ジャガが収穫される。秋に収穫されるジャガイモは収穫後に貯蔵して熟成させるが、新ジャガはこの貯蔵・熟成期間を省いて、収穫後すぐに出荷する。そのため通常のジャガイモと比べて、皮が薄くてやわらかく、みずみずしい食感が楽しめ、皮のまま調理しても美味しい。

ジャガイモ、別名馬鈴薯(ばれいしょ)は、ナス科ナス属の多年草の植物。南アメリカのアンデス山脈原産。世界中で栽培され、デンプンが多く蓄えられる地下茎がイモの一種として食用される。揚げる、蒸す、茹でる、煮込み料理にするなどのほか、コロッケやポテトチップスなどの加工食品にもされ、デンプン原料としても需要がある。保存がきく野菜として扱われる一方で、主食にもなりえる重要な食物として世界的に多く食べられている。日本への伝来は諸説あるが、1598年にオランダ人によって持ち込まれた。ジャワ島のジャガタラを経由して長崎へ伝来したためジャガタライモと呼称され、それが短縮されジャガイモとなった。北海道で本格的にジャガイモが生産されるようになったのは、開拓使による作付奨励がきっかけだった。アメリカで学び、後に「いも判官」と呼ばれた川田龍吉男爵が自身の農場で栽培をして普及させた。この品種は川田の爵位に因み「男爵いも」と呼ばれることになった。当初は西洋料理の素材として扱われるだけだったが、洋食の普及とともに日本の家庭料理にも取り入れられるようになった。

北海道は生産量・収穫量とも全国1位。2023年(令和5年)の北海道の作付面積は4万8,500ヘクタールで、収穫量は193万トン、出荷量は172万8,000トン。前年に比べそれぞれ11万1,000トン(6%)、11万3,000トン(7%)増加した。作付面積は全国の約7割となり、収穫量は全国の約8割を占めている。また、北海道は原産地であるアンデス地方の気候風土に似ていることから、栽培にとても適している。主な産地は道東の十勝、網走地方、そして道央の美瑛、羊蹄山麓など。寒さに強く、冷害の影響が少ないため、盛んに栽培されるようになった。昼と夜の寒暖差が大きいので、ジャガイモの味がより甘くなる。近年はより美味しく、より多く収穫できるジャガイモを生産するために品種改良を続け、現在北海道で作付けされている品種は、なんと約50種類といわれている。

北海道で有名なジャガイモの品種といえば、ホクホクとした食感が特徴の「男爵いも」。そして長卵形でくぼみの浅い形状の「メークイン」が広く知られている。また、「きたあかり」は男爵と似た丸い形で強い甘さから栗ジャガイモとも呼ばれる。「インカのめざめ」は2002年に品種登録された比較的新しい品種。「とうや」は洞爺湖がある道南・虻田地方で主に収穫されることが品種名の由来。「ベニアカリ」は名前の通り皮が赤く、断面は白い。「シャドークイーン」は皮や断面が紫色、長い卵型。ほかにも「ジョアンナ」や「トヨシロ」、「ノーザンルビー」、「北海こがね」などが人気。「シャイニールビー」と「ノーブルシャドー」は2021年に開発されたばかりだ。

新ジャガにはビタミン類が豊富に含まれ、フランスでは「大地のリンゴ」ともいわれている。特にビタミンCの含有量はミカンに匹敵し、おおよそ200gを食べると1日のビタミンCの必要量に達するほど。加えて、ジャガイモのビタミンCはでんぷん質に守られているため、熱を加えても破壊されにくいという特徴があることから、より効率的に摂取することができる。ほかにも、ビタミンB1やビタミンB6、ナイアシンなどのビタミン類も含まれている。

新ジャガは皮が薄く皮付きのまま食べられるため、皮ごとフライにしたり、じゃがバターや揚げ煮などの丸ごと調理する食べ方が向いている。水分が多くしっとりしていて、加熱調理中に形がくずれにくいので炒め物や煮物にもオススメだ。特に観光客に人気なのが「じゃがバター」で、たっぷりのバターとイカの塩辛、ニシンやサケの切り込みをトッピングすると美味。新ジャガを千切りや細切りにして水にさらせば、シャキシャキとした歯応えを楽しめる。切ったものは生でも食べられるがさっと火を通して「中華炒め」や「ナムル」、「サラダ」にしても美味しい。皮ごと調理することで旨さが引き立つ「煮っころがし」は、新ジャガならではの楽しみ方。
 

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