エゾバフンウニ/蝦夷馬糞海胆
オオバフンウニ科
Japanese green sea urctin学名:Hemicentrotus pulcherrimus
夏はウニが旬。北海道では6〜8月に漁が解禁される。トゲが短くまんじゅう型で濃いオレンジ色の身が特長の「エゾバフンウニ」、トゲが長く身が淡い黄色の「キタムラサキウニ」、この2つが有名だ。
好みもあるが一般的にはバフンウニのほうが高級で人気も高く、漁獲量が少ないため、「ウニの王様」とも評される。エゾバフンウニの名前の由来は、見た目のとおり馬ふんに似ているから。普通のバフンウニよりもひと回り大きく、殻径8センチ程にもなり、寿命は約8年。地元では「ガゼ」または「ガンゼ」と呼ばれている。
通常身とされる部分は卵巣や精巣の部分、いわゆる生殖巣のことで1つのウニにはそれが5つある。6月前半はまだ身が完熟しておらず若いが、7月に入ると徐々に濃厚な甘みが増してきて、最旬を迎えることになる。
北海道では全沿岸の水深50mまでの岩礁域に生息。「昆布の質が良いほどウニの味が良い」といわれ、“天然昆布の名産地=美味しいウニの名産地”。積丹半島、松前と奥尻、羅臼、そして利尻と礼文が5大産地だ。ウニ漁はおよそ120年前にはじまり、1960年代には漁獲量が1万トンを超えていた。その後80年代後半から急速に減少し、2000年以降は5000トンほど。いまでは人工種苗生産技術を用い、資源回復に努めている。
漁は小型の船舶で長さ1.5メートルの棒に金属製のかぎづめを3本付けた漁具「ヤス」を使い、海底から1つずつ拾い上げる。まれにたも綱も使用することもあるが動力は使わない。
2021年9月中旬、北海道の太平洋沿岸の広い範囲でウニが大量死した。被害額は1500トン、約45億5500万円だった。被害海域で発生している赤潮が原因とみられている。漁場の海底は惨憺たる状況で、トゲが抜けて白く変色した死んだウニで埋め尽くされた。
ウニの価格高騰の恐れは当面避けられない。それはロシアからの代替調達が難しいからだ。日本にとってロシアは世界3位の水産物の輸入先で、ウニはロシア産のシェアが最も多い。ウクライナへの侵攻で輸入が滞ればさらに品不足に陥る可能性が非常に高い。
エゾバフンウニは、ウニのなかでもとりわけ甘みが強い。口のなかにフワッと広がる深いコクと舌の上でとろけるような濃厚な味わいが特徴的だ。ウニの頂点に君臨し、寿司店や高級料亭で使用される。
最も高級なものはミョウバン(凝固剤)を使わずに塩水に侵たした「海水ウニ」。生鮮輸送の発達にともない、まるで獲れたてウニの殻をパッカーンと割って、その場で口にしたような風味が堪能できる。血液をサラサラにするEPAが多く含まれ、ビタミンやグルタミン酸など美肌には欠かせない保湿成分もたっぷり。一方、極端に摂取すると骨粗そ症の原因になったり、コレステロールも多いので食べ過ぎには注意が必要だ。
料理は寿司が美味。上質な食感と上品な甘みが楽しめ、高級寿司ネタとして扱われる。ススキノでは軍艦巻にせず、握りで提供する店もある。産地ではウニ丼が人気。丼を片手に豪快にかき込みたいところ。口のなかいっぱいに広がる磯の香りがたまらない。
「焼ウニ」や「蒸ウニ」もあり、生とはまた違った芳ばしさが楽しめる。麺類などにもよく用いられ、生ウニのパスタや観光客に好評のウニラーメンなどもある。「ウニの塩漬」の歴史は古く奈良時代に朝廷に献上されたのがはじまりと伝わっている。
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