牡蠣/[真ガキ]
ウグイスガイ目イタボガキ科マガキ属
Pacific oyster学名:Crassosrea gigas
カキは厳冬期にプリッと身が締まり、極上の味わいになる。殻を開け、プックリ大きな身をそのまま頬張ると、海の香りとともにコクのある甘さが口いっぱいに広がる。また、高い栄養価をほこり、カラダに必要なミネラルをたくさん含んでいる。英語で「R」のつかない月(5〜8月)には食べるなといわれるが、これは夏場は食中毒のおそれがある上、産卵期で身が痩せて美味しくないため。年間を通して水温が低い北海道では夏の時期でも真ガキを食べることができる。
約2億9500万年前から始まるペルム紀には出現し、三畳紀には生息範囲を広げた。浅い海に多く極地を除き全世界に分布する。カキの中でも真ガキ属は世界的に食用目的で養殖が最も多い二枚貝。海の岩から「かきおとす」ことから「カキ」という名がついたといわれる。古くから世界各地の沿岸地域で食用、さらに薬品や化粧品、建材(貝殻)として利用されている。英語でカキを指す「oyster(オイスター)」は日本語の「カキ」よりも広義に使われ、岩などに着生する二枚貝のほぼすべてが含まれる。
現在、北海道の真ガキ漁はすべて養殖といっても過言ではなく、サロマ湖と厚岸湖を抱える網走と釧路両管内で北海道全体の約9割が水揚げされる。このエリアではカキの成長にとても良い条件が揃っており、その1つにあげられるのが水温の低さと温度変化が非常に少ない点。水温が低いとカキの成長が遅くなり、その分ゆっくり、そしてじっくりと長い時間をかけて栄養分を蓄えて大きく育つからだ。
オホーツクの海水と川から流れる淡水が混ざり合う汽水湖である「サロマ湖」で育ったカキは、栄養素の高い環境と北限の水の冷たさによって、独自の美味しさが生み出される。また、厚岸湖とそれに直結する厚岸湾はプランクトンがとても豊富で、山や湿原の養分をたっぷりと含んだ河川が流れ込み、海水と淡水が混じり合う特別な海域。栄養を十分に溜め込みコクのある旨みが凝縮するカキに成長する。どちらも他の産地で生産されるカキに比べ、低い水温であるため産卵時期を調整でき、1年を通して生カキを出荷できる。
近年はブランド化がすすみ、厚岸の「カキえもん」や「マルえもん」、日本最北のカキとしても知られる「サロマ湖産」ほか、寿都の「寿牡蠣」も人気だ。どれも身がふっくらとしていて、甘みが濃厚なところが特徴。また湧別の「COYSTER」は1年で水揚げした小粒なカキ。通常カキは2年間成長させたのちに出荷するが、北海道では1年でも出荷できる。グルメの間では「1年もののほうが濃厚な味」と好評だ。
「海のミルク」と呼ばれるのには、カキに含まれる豊富な栄養素が理由に挙げられる。良質なタンパク質を多く含み、グリコーゲン、ビタミンA・B1・B2・C、カルシウム、亜鉛、鉄をはじめ、ストレス制御やダイエット効果、成人病の予防などに効果があるタウリンも含まれてる。
代表的な料理は生カキ。殻つきのまま味わう生カキは、殻をむいた直後と時間を経過してからでは風味に大きな違いがあり、カキが苦手という人にこそ新鮮なむきたてを味わってほしい。また、ススキノのオイスターバーでは生カキの食べ比べもできて楽しい。そして冬にはかかせないカキ鍋。鍋の周りに味噌を塗り、煮ながら食べる土手鍋は広島の郷土料理。漁師のまかない「ガンガン蒸し」は、ブリキ缶にカキを殻ごと入れて、豪快に火にかけ蒸すだけ。極めてシンプルだがこれが旨い。定食屋でおなじみのカキフライは、サクサクの衣にふんわりと柔らかなカキの食感、大粒の身からあふれ出す旨みがたまらない。ちなみにカキを洗うには水道水よりも大根おろしがオススメだ。
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