ブリ/鰤
yellowtail学名:Seriola quinqueradiata
世界的な気候変動や海水温度上昇に伴い、水産資源はこれまでの旬とは異なる時期・海域で漁獲されるようになった。かつて生息しないはずだったブリや真フグなどが北海道の海域で水揚げされている。水産庁の資料によると、ブリは2000年頃から資源量が増大し、北海道の広範囲にわたり水揚げされるようになった。2020年には漁獲量が過去最高の約1万5,500トンになり、漁獲量の都道府県ランキングで北海道が全国1位となった。いまや、北海道の定番の魚になりつつある。
ブリの旬は一般的には冬のイメージがあるが、北海道では9月中旬から獲れはじめ、秋に旬を迎える。すべて天然で、養殖はされていない。身が締まっており、上質な脂の甘さが魅力といわれている。
成魚は全長1m、体重8kg程度。最大で全長1.5mにもなる。体は前後に細長い紡錘形で、背は暗青色、腹は銀白色で、その境の体側には黄色の縦帯がある。体表には細かい鱗があり、全長30cm程度までの若魚は第一背ビレのトゲ条が6本だが、成長すると5本になる。産卵は、1月頃に東シナ海の南端付近で開始し、九州沿岸から日本海側の能登半島周辺、太平洋側では伊豆諸島周辺で行われる。
ブリは大きさによって呼び名が変わる出世魚でもある。出世順の呼び方は、地域によってバラバラで、北海道ではフクラギ→イナダ→ブリの順。体重が1kg未満はフクラギ、1kg から5kg未満はイナダ、そして5kg以上がブリとなる。また、大きさに関わらず養殖のものをハマチ、天然のものをブリとして区別する場合もある。刺身や寿司でお馴染みのカンパチは、ブリと同じアジ科ブリ属の一種で、ブリやヒラマサと並び「ブリ御三家」と呼ばれる。
北海道で水揚げが多いのは函館、様似、日高、余市、釧路、羅臼、斜里など。1本釣り、延縄、定置網、刺し網などの方法で漁獲される。近年は、「サケ不漁、ブリ豊漁」といった状況が続いており、漁獲されたものの中には、サケを獲るための定置網にかかったものもあるようだ。積丹半島の東に位置する余市で漁獲される「天上ぶり」は、最高級の天然ブリとして有名。また、釣り人にとっても人気の高い魚種で、大物狙いの標的としても注目を集めている。船釣りだけでなく、潮通しの良い港湾内や岸壁近くにも入り込んでくることがあり、陸からの釣りの対象にもなっている。
ブリには高血圧や血栓の予防に効果があるEPAや、脳の働きを活性化させるDHAなどが含まれ、健康効果が期待できる。また、肌にも良いとされるコラーゲン、ビタミンBやビタミンD、抗酸化作用のあるビタミンEなども豊富に含まれ、美容にもうれしい。
脂がのっていて食べ応えのあるブリは、さまざまな調理方法が楽しめる食材。鮮度の良いブリの見分け方は、腹に張りがあり、体表の青味が輝いて美しいもの、切り身は表面につやがあり、色がしずんでいないもの、エラの内側や血合いが鮮やかな紅色で黒ずみがないものとされている。生や刺身で食べられるほか、照り焼きやブリ大根にしたりとアレンジも豊富。アクアパッツァ、カレー、ブリザンギ、野菜たっぷりのブリしゃぶなどが人気の料理としてあげられる。
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