キンキ/黄金魚
フサカサゴ科キチジ属
Kichiji rockfish学名:Sebastolobus macrochir
キンキの旬は秋から冬。通年美味しく味わえる魚だが、春の産卵期に向けて栄養を蓄えて脂が抜群にのってくる今ごろが最も美味しい時期とされる。真っ赤な魚体で、口内が黒いのはあのノドグロと一緒。頭部の鋭い棘や大きな口と目が特徴。北海道では高級魚として人気、近年漁獲量が極端に減少し非常に高価になった。
キンキはフサカサゴ科キチジ属の一種。ただし分類に関してはいくつかの考え方があり、スズキ目キチジ科として独立した科として扱われているほか、メバル科キチジ属とする文献もみられる。正式にはキチジ、釧路など道東地域ではメンメと呼ばれ、ほかキンキン、メメセンなどの地方名がある。
北海道を中心にオホーツク海、太平洋で獲れる魚で、網走、北見、知床周辺、恵山沖から苫小牧沖と、浦河沖からえりも岬沖で漁獲され、日本海側では獲れない。水深200〜600mに生息し、そこでエビを食べている。キンキが赤いのはそのためで、天然の真鯛が赤いのも同じ理由。オホーツク近海、知床周辺では主に、はえなわ漁という漁法で傷が付かないよう漁獲されるため鮮度が良く、市場では網走産の「釣きんき」(登録商標)が有名だ。 市場では非常に高値で取引され、主に高級和食店や寿司店、高級レストランなどで扱われることが多い。
キンキは脂ののりがとても良く、身は白身で上品なまろやかさのある甘みがあり、まさに北海道の海の恵みを代表する味わい。たんぱく質よりも脂肪分のほうが多く、サバやサンマなどの青背魚とほぼ同等かそれ以上の不飽和脂肪酸を含有する。脂質の酸化を防ぐ作用のあるビタミンE、ミネラルの銅も豊富。赤い色素のアスタキサンチンは抗酸化作用を持つといわれる。悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防効果があるとされ、身体にも良く安心して味わえるのもキンキならでは。北海道の郷土料理としてさまざまな味わいで親しまれている。
冬は、やはりキンキ鍋が代表格。脂がある分プリッとした美味しい身が楽しめる。良いダシがでるので、しゃぶしゃぶやブイヤベースなどもオススメ。
新鮮なキンキは刺身で味わいたいところ。口に含むと良質な脂がとろけ、とても甘みが強い。肝を添え、肝醤油で食べるととても美味。皮と身の間に旨みがあるので皮を引かずに刺身にするのがキンキの皮霜造り。旨さを最大限に活かすため、皮目に湯をかけて氷水に落とす。身がギュッと締まり、一口食べるだけで深い味わいが口の中いっぱいに広がる。
しっかりと味を染み込ませ、ふっくらと炊き上げた煮つけも定番。頭やヒレのまわりも美味しいので、丸ごと煮つける。上品な味わいで身離れもいい。
サッと塩を加え1日から2日干す。身が締まり旨みがさらに増し、焼くことで唸るほどの美味しさ。食べた後の骨やアラを炙り直して熱湯を注ぎ、身や骨から旨みのエキスが出た汁に醤油をたらす。骨湯と呼ばれ古くから親しまれている食べ方だ。炙った骨に熱燗を注いで骨酒にするのもよい。身が柔らかいため、飯寿司や粕漬け、味噌漬けなどに加工されることも多い。
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