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秋サケ/秋味
サケ目サケ科

salmon
学名:Oncorhynchus keta
 

サケは秋の味覚の代表格。北海道では「秋味」と呼ばれ、食欲の秋が到来する9月に秋サケの水揚げが本格化する。

サケの国内シェアの約8割を占める北海道。そのサケは、冬に川底の砂利のなかで生まれる。しばらくは砂利の間で生息し、やがて稚魚になるとゆっくりと泳ぎ出し、春になると海へ下っていく。海に出た稚魚は、約1〜2ヵ月間沿岸で成長し、その後オホーツク海で夏から秋までを過ごしたあと東へ向かい、次の年の6月ごろにベーリング海へと移動する。秋になるとアラスカ湾で冬を越し、春になるとベーリング海に戻る。これをくり返しながら、3年から5年ほど海で育つ。海で大きく育ったサケは、卵を産むために生まれた川をめざす。なぜ生まれた川に戻ってくるのかは、いまだに謎。こうしてサケは生まれた川で一生を終える。

サケは広い意味でサケ科の魚類全般の総称として使われるが、一般的に「白サケ」、「銀サケ」、「紅サケ」の3種類あり、秋サケは「白サケ」のこと。他は日本の川に上ることはない。また、春から夏にかけて獲れた白サケは、季節はずれのサケという意味で時知らずや時サケと呼ばれる。鮭児(ケイジ)は1万尾に1〜2尾しか獲れず、筋子も白子もない未成熟な若いサケのことで、「幻の魚」とも称される。

サケの歴史は古く、石狩市では縄文時代の遺跡からサケを捕獲したと推定される仕掛けが発見されている。平安時代前期の10世紀初めに朝廷から出版された「延喜式」には諸国から収められた租税の内容が記されおり、サケを貢物として納めた記述が残っている。江戸時代には、蝦夷地(北海道)産の干サケや塩引きサケが江戸をはじめ全国各地に出回るようになる。1752年には松前藩が大泊(コルサコフ)など樺太の3ヵ所に官設漁場を開設し、サケ漁を行った。

2023年、北海道の秋サケ漁獲高は382億7355万円となり、過去最高だった2022年639億9594万円に比べ、59.8%と不漁となった。これは猛暑による海水温上昇の影響で秋サケの来遊が減ったとみられている。南から流れてくる暖流の黒潮がかつて類をみないほど北上している上に、冷たい親潮の勢力が極端に弱くなっている。さらに記録的な暑さも加わり高水温となった。これを嫌い、秋サケが沿岸に近づけなかったのが原因となった。

サケ定置網漁業は、北海道の主力漁業のひとつで、道内水産物の年間水揚げ量の10%以上を占める。漁場はオホーツク海沿岸、根室海峡、釧路、十勝、日高沖、石狩が主で、距岸1,500〜2,000m、水深 10〜50mの岩盤や砂地で行われる。育てる漁業として年間10億尾のサケ稚魚の放流も行っている。

9月から11月にかけて川に遡上する直前の秋サケは脂がのって最高に美味しい。ブランド化を推進している地域があり、有名なのが日高の「銀聖」。また、魚体が銀色に輝く「銀毛鮭」は産卵に向けて栄養をたっぷり蓄えた秋サケで、身はしっとりと柔らかく、色は紅サケにも劣らない鮮やかなサーモンピンク、そしてしっかりと脂ののった最も美味しい状態。さらに羅臼で水揚げされる「羅皇(ラオウ)」。羅皇は知床半島のブランド秋サケとして銀聖と双璧をなしている。漁が盛んな標津町では、サケのことをもっと知ってもらおうと、2009年に「標津町サケマイスター制度」を創設した。サケに、ちなんだイベントも盛んで、「らうす漁火まつり」、「石狩さけまつり」、「しべつあきあじまつり」などが毎年9月ごろに開催され、旬の秋サケを使った料理やサケのつかみどりを目当てに毎年多くの人が訪れている。

秋サケは低カロリー・低脂肪で、たんぱく質は消化吸収がよく、強力な抗酸化作用を持つ。脳の活性化に良いといわれるDNAもたっぷり。メスは卵(筋子)をたくさん抱えており、イクラも旬の時期。実は白身魚で、エビやカニを餌にしているうちに身が赤くなっていく。

石狩鍋は北海道を代表するサケ料理。切身とアラをぶつ切りにして昆布ダシに味噌などを加え、野菜と鍋で煮る。食べる前にイクラを添えたりする。ちゃんちゃん焼きは、漁師がつくる豪快な鉄板料理。季節の野菜と一緒に蒸し焼きにし、味噌で味付け。ねぎ味噌やバターベースにアレンジしても旨い。名前の由来は手軽にちゃんちゃんとつくれる、お父ちゃんがつくる、という説がある。炭火でふっくら焼き上げた秋サケの塩焼きはススキノの炉端店で楽しめる。
 

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