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旬食材図鑑

ミズダコ/水鮹
八腕形目マダコ科

North-pacific giant octpus
学名:Enteroctopus dofleini
 

全長3〜5m、体重10〜50kg にもなる世界最大のタコ。寒海性で北海道に広く分布する。マダコがあまり流通しない北海道では最もメジャーで、「北海タコ」とも呼ばれる。ほぼ1年中水揚げされるが、主に12〜1月の冬が旬となる。水分が非常に多いことが名前の由来。胴部は卵円形でやや縦長、表皮は柔らかくたるんでいる。8本の脚の長さはほぼ同じで全長の7〜8割に達し、吸盤はひとつの脚に250〜300個ある。周囲に合わせて体表の形状や体色を瞬時に、そして多様に変化させることができる。

北海道では、近海域一帯に分布し、水深1mに満たない沿岸から水深200m前後にまで広く生息。餌は主に毛ガニやタラバガニなどの大型甲殻類やホタテなどの貝類、ウニなども手当たり次第にその巨体を良いことに捕獲して貪欲に食べてしまう。寒い海に生息するそれら大型甲殻類などの餌が豊富であり、寒海には住めない他のタコ類との競争もなく、次第に大型化していったと考えられる。カラストンビと呼ばれる口の部分は人間の握り拳大ほどもあり、これでカニの甲羅や貝の殻を咬み砕く。

漁は釣り、カゴ、箱などがある。壺は大きすぎて無理がある。また、年間約2千トンもの水揚量を誇る日本最北端の宗谷港で、その漁獲量を支える漁法のひとつが「いさり曳(樽流し)漁業」。ミズタコだけを効率的に漁獲する自然に優しい漁法として取り沙汰された。

ミズダコは一生に1度だけ交接(雄が雌に精子を渡す)し、そして産卵を行う。交接は11〜12月が盛期、産卵期はそれから半年を経た6〜7月とみられる。精子は産卵まで雌の体内に蓄えられ、産卵時に受精する。寿命は2〜3年。「オオダコ」の異名を持つミズダコ。北大西洋で特に大型化しており、これまでの最大記録は体長9mを超え、体重は270kg以上に達していた。体のほとんどが柔軟な筋肉であるため力が強く、巨大な体に絡まれたら非常に危険。潜っていた時に襲われ、溺死した例もある。また、周囲の状況に擬態したり、迷路を解いたり、W杯優勝国を予想するなど高い知能を有しているが、まだまだ生態的に未解明な部分が多い。

ミズダコは高たんぱく、低脂肪、低カロリーで、ダイエット向きの食材といえる。生よりも茹でて食べたほうがたんぱく質が増加する。コレステロールが多いといわれてるが、タウリンが豊富に含まれているため、逆に血中コレステロールを下げることが近年わかった。血圧を下げる効果もあるため、動脈硬化、脳卒中などを予防する働きも認められている。また肝機能を高める働きもあるので酒の肴には最高の素材だ。

北の冷たい海で育ったミズタコの歯ごたえや透明感は別格。プリプリとしていて、みずみずしい美味しさがある。鮮度が特に重要で、生であれば吸盤の吸い付き具合、茹でた場合は弾力の有無などが見極めのポイント。

料理方法としては、刺身や寿司、たこ焼きのほかに、おでん、塩茹で、たこしゃぶ、唐揚げ、燻製、塩辛など多岐にわたる。代表的なのは刺身。ミズダコの身は水っぽいが、刺身にすると楽しめるしなやかな歯ざわりはマダコ以上との評価もある。またミズダコの炙りは強火で焼き目がつくくらい焼き上げる。焼いた表面に芳ばしい香りがして、生とは対照的な味わい。さらにミズダコのしゃぶしゃぶは軽く凍らせて薄くスライス。昆布ダシで自分の好みの火の通し加減で食べる。ほとんど生で食べるのと、しっかり火を通すのとでは味が大いに異なり、その違いを楽しめるはず。

最北端の稚内はたこしゃぶ発祥の地として有名だ。ほかにもタコザンギ(ミズダコの唐揚げ)はコリコリして、独特の旨みがあってとても美味。最近では真水に浸すと瞬時に刺身になるミズダコのフリーズドライ製品も登場した。北海道では酢ダコ、やわらか煮といったおせちに使われるタコの多くがミズダコ。茹で上げると色鮮やかな紅白模様になるため、おめでたい料理にもってこいの食材。古くから赤色には「魔除け」の意味があるとされている上、タコが真っ黒な墨を吐いて敵から逃げる姿も「苦難を煙に巻く」と捉えられるので縁起が良いとされている。また、「多幸」と漢字を当てることができるので、「一年間幸せでいられますように」との願いが込められている。

撮影取材協力/すすきの水産

 
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